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傷の悩み 無料相談
創傷治癒よくある質問
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- Q4181 相談者 ニックネーム:無記入 患者様(相談対象者) 年齢:20代後半 性別:女性
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やけどをして半年になりますが、傷がふさがらなくて困っています。
- A4181 回答者:脇坂長興 (創傷治癒センター理事)
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初めのやけどの深さと大きさにもよりますが、半年たって傷がふさがらないというのは、やけどが深くて結果的に植皮が必要だったといえます。初めに述べたように深い2度か、3度のやけどの場合には下から皮膚がはえてきません。周りから皮膚がはえないわけではないのですが、直径2~3センチ以上の傷になると、いくら待っても中心部まで皮膚が伸びてきてくれません。またいったん薄い皮膚がかぶさったようでも抵抗力が弱い皮膚なので、ちょっとこすれるとすぐに傷があいてしまいます。というわけで、普通1~2ヵ月でふさがらない場合には、植皮が必要です。それも、自分の皮膚でないとつきません。
さて手術のことになりますが、植皮した部分を安静に保つために、やはり1週間か10日の入院が必要になります。あまり外から見える場所に傷をふやすことは好ましくないので、なるべく下着で隠せる部分から薄い皮膚を取ります。普通デルマトームと呼ぶ機械で皮膚の半分くらいの厚さを、そぐようにして取ります。取ったあとは、浅い2度のやけどと似た状態です。上から軟膏ガーゼでおおい10日から2週間で自然に皮膚がはえるのを待ちます。一時的薄桃色になり、そのあと体質によってはケロイド状に盛り上がることもありますが、1~2年でだんだん平らになり、目立たなくなってゆきます。
植皮した部分は、包帯で圧迫して4~5日は動かさないようにしておきます。いったん皮膚がつけば、2週間か1ヵ月ぐらいで普通に使えるようになります。植皮した部分は、回りより色が黒ずんで見えたり、場所によってはちりめんのようにしわが寄ってくることもあります。つまり、植皮しても全く正常に戻るわけではなく、皮膚をとった部分にも、目立たなくても傷あとが残ってしまうわけです。
よく、植皮をしないで何年もかかって軟膏だけでやけどをなおした、という話を聞きます。植皮が万能でないなら、むしろこのほうがいいと考えられるかもしれません。しかし植皮が必要と判断されたときに軟膏療法で長びかせると、次のようないろいろな問題が生じます。
1 長い年月をかけてやっと傷口がとじても、その下に厚い瘢痕組織を生じて、ちょっとこすっただけですぐにくずれてしまいます。これを私どもは不安定な瘢痕と呼び、結局は皮膚の移植をするようになります。
2 回りの皮膚が引き寄せられて瘢痕のつれとともに、傷口がとじてゆく場合があります。屈曲のはげしい関節の部分によくこれが見られます。こうなると一応傷口はとじても、関節がひきつれてうまく伸びてくれません。子どものときの囲炉裏のやけどなどで、あごが胸にくっついてしまったり、ひじが曲がったまま伸びなかったりというのはこの例です。もちろん年月がたってから植皮してもかまわないわけですが、関節を長い間このような状態にしておくと、発育障害を起こしたり、関節がかたまったりしてもとに戻らなくなります。
3 1に述べた不安定な瘢痕を植皮しないで、潰瘍を繰り返した場合、その刺激のために10年、20年たつとガンが発生することがあります。幸いに、これはあまり多く見られることではありませんし、また10年、20年という長期間傷が放置されて、なおったりくずれたりを繰り返した場合に起こることです。完全にとじたやけどの傷あとから自然にガンが発生することはありません。
- Q4182 相談者 ニックネーム:無記入 患者様(相談対象者) 年齢:47歳 性別:女性
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ガンということで上顎摘出手術を受けました。ガンはなおったと言われましたが、ほおに大きな穴があいてしまって日常生活にさしつかえます。こういうのをなおす手術は可能でしょうか。
- A4182 回答者:脇坂長興 (創傷治癒センター理事)
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上顎ガンは、日本人にはそれほど珍しいガンではありません。これを完全になおすためには、ふつう上あごの骨と、場合によってはその上の皮膚をとり除きます。上あごを完全にはずすと目のソケットの床がなくなるので、しばしば眼球が下に落ち込んでしまいます。また皮膚をとり除くと、すぽっとほおに穴があいてしまいます。上あごとともに、歯ぐきも取ってしまう場合もあります。
したがって、ほおに穴があいているというだけでなく、物がかめなくなったり、飲み込みにくかったり、また息が漏れてうまく話せないという障害が起こります。眼球が下にずれてしまうと、物が二重に見え視力も落ちてきます。これらは、ガンの手術と同時に皮膚移植で再建をしておけば、ある程度予防できるので、私どもなるべく耳鼻科や口腔外科と協力して、初めから再建のプランを考えるように努力しています。
ガンはなおったが、このような醜形だけが残ったという場合には、改めていろいろな再建手術を試みます。まず、ほおの穴に対しては皮膚の移植を行ないます。簡単な植皮ではこの場合不十分ですので、以前は何回かに分けて胸の上の部分の皮膚を移動させました。最近では組織移植と血管をつなぐ手術を組み合わせることで、かなり手術の自由度が利くようになっています。ひたいの皮膚を犠牲にして再建する場合もあります。歯の欠損には義歯を入れることになりますが、ある程度反対側によい歯が残っていてくれないと、なかなかすわりのよい義歯をつくることはむずかしいようです。義歯といっしょに、上あごの骨の欠損部をうめるようなプロ-ゼをつくることもできます。眼球が下に落ち込んでいる場合は、なるべくソケットの下部に皮膚移植をしてプロテーゼでささえたり、また骨の移植を考えたりします。いずれにしても完成までに数回の入院で、半年くらいの期間は必要でしょう。
- Q4183 相談者 ニックネーム:無記入 患者様(相談対象者) 年齢:40代前半 性別:男性
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叔父が大やけどをしました。命を救うために皮膚を提供してほしいと親戚中がいわれたのですが、どうしたらよいのでしょうか。
- A4183 回答者:脇坂長興 (創傷治癒センター理事)
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何時も言うことですが、皮膚移植は本人の皮膚でないと生着しません。しかし、やけどの範囲が広いとき、一度に全部を本人の皮膚でおおうことは不可能になります。かといって傷をとじないでおくと、たいせつな体液がもれてしまったり、またそこから逆にバイ菌が入ったりします。したがって、とりあえず他人の皮膚で一時傷口をふさぎ、徐々に本人の皮膚におきかえるということが必要になってきます。他人の皮膚でも10日か2週間ぐらいはついています。これを「生物学的包帯」と呼んでいます。
血液を提供するのと違って、皮膚を提供すればやはり傷あとが残ります。また一人の人が安全に提供できる皮膚の量にも限度があります。
このような患者さんの場合には、他人の皮膚移植(同種多植)が繰り返し必要になってきます。そこでご質問のように、親戚を動員して皮膚を提供していただくようになるわけです。外国ではこの目的のために、血液銀行と同じ皮膚銀行、スキンバンクというものが設けられているところもあります。これはガンとか伝染病の病気以外、たとえば交通事故でなくなったかたの皮膚を提供していただき、輸血と同じく、冷蔵庫に摂氏4度で無菌的に保存しておくわけです。しかしからだの表面を傷つけることになるので、やはり遺族のかたがたの抵抗が大きいようです。
そこで最近は、人間の皮膚にもっとも性質の似ている豚の皮膚が、この目的のために利用されるようになりました。豚の皮膚を無菌的に薄くはいで、いろいろな方法で保存したものが製品化されています。ポーシンスキンと呼ばれていますが、やはり人間の皮膚ほどはうまくいかず、かえって感染や拒否反応などのマイナス面が多いという意見もあります。
そのほかシリコンの膜を加工したものが、バイオブレーンという商品名で発売されています。しかしこれは長期間放置できるものでもなく、また皮膚の機能をはたすためでもないので、結局はガーゼと同じく、一時しのぎの包帯に過ぎません。
最近最も期待されるのは、培養皮膚です。
これには本人のものを培養する自家培養皮膚と他人のものを使う同種培養皮膚があります。
自家培養皮膚は生着しますが、同種培養皮膚は同種移植とおなじで、一時的なカバーに過ぎません。しかし、皮膚の提供者の不足を補うものとして、今後開発が期待されます。
命を救うためには、あらゆる努力が必要で、医師、看護婦ともに重症のやけどの患者さんをかかえると、何日も徹夜の治療をつづけます。しかもほかからの皮膚の提供が必要な場合には、そうとう重症と覚悟しなければなりません。それだけ回りのかたに犠牲をしいても、患者さんを救えるという保証がないのが、治療にあたる側のジレンマです。
- Q4184 相談者 ニックネーム:無記入 患者様(相談対象者) 年齢:40歳 性別:女性
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子宮ガンで放射線治療を受けました。後遺症と思われますが、半年前から腰の部分の皮膚がくずれてきて、ひどく痛みます。皮膚移植もむずかしいといわれたのですが、どうしたらよいのでしょうか。
- A4184 回答者:脇坂長興 (創傷治癒センター理事)
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子宮ガンの場合は四方向から放射線をかけますので、下腹部の両側と、背中では両方の腰の部分に起こります。
ここで放射線の後遺症について、説明を加えます。放射線をかけた場合に、その直後と、それから数年たって起こるものと2つのタイプの後遺症があります。直後のものはやけどに似て、一時的に赤くなり、ヒリヒリして、そのまま皮膚がくずれる場合もありますが、たいていはそうならずにおさまります。
もう1つのタイプはもっとめんどうで、十数年たってから徐々に変化が起こってきます。放射線の副作用が徐々にあらわれて、毛細管がつまったり、全部の細胞が萎縮して線維化されてきます。血液の循環が悪くなるので、その部分の皮膚は栄養不足になり、くずれていわゆる潰瘍をつくります。
ご質問の場合は、このような後期の放射線障害にあたります。これもガンの治療のためには、やむをえない副産物とされています。めんどうなことには、毛細管がつまって血液の循環が悪いので、皮膚の移植をしようと思ってもなかなかついてくれないことです。
また、血管が先にやられてしまうのに、神経は放射線に対して抵抗力があって、痛みだけは、人一倍敏感に感じるのです。
なおりが悪いうえに痛みだけは強いということで、当人にとっては非常な苦痛になります。しかもこの変化は表面だけではなく、ずっと奥まで及んでいるので、ほうっておくとだんだんと広く深く進行してゆきます。
しかし、なおせないわけではありません。昔の皮膚移植ではほとんど失敗しましたが、最近の新しい移植の方法を使えば、多少手間はかかりますが、完全になおすことも可能です。これを早い時期にすませておけば、回りからのよい血液をその部分に誘致することになるので、潰瘍が深部に進行するのを防ぐことにもなります。
この手術には、やはり数ヵ月の入院は必要でしょう。子宮ガンの治療だけでもたくさんなのに、手術はもうこりごりだと思われるかもしれませんが、早ければ早いほど治療しやすいし、入院も少なくてすみますから、あまり引き延ばさないほうが得策だと思います。
- Q4185 相談者 ニックネーム:無記入 患者様(相談対象者) 年齢:30代後半 性別:女性
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幼いころ顔にやけどをしました。いままではあまり気にしていなかったのですが、なおるものなら、やはり手術を受けてみたいと思います。傷の大きさは、ひたいとくちびるがそれぞれ1.5センチ四方、ほおが5センチ四方ぐらいです。
- A4185 回答者:脇坂長興 (創傷治癒センター理事)
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なかなかむずかしい問題です。診察してみないとわからない要素の一つは、傷の大きさ以外に、傷がどんな状態かということです。たとえば、へこんでいるか出っぱっているか、また赤いか茶色いか、また白く色が抜けているかといったようなことです。ここで推量してみますと次のような傷あとではないでしょうか。多少回りよりへこんでいて、いくぶん茶色がかっている。そしてお化粧してものりが悪いし、またそこだけでこぼこになってしまう。そういう状態の傷として場所と大きさによって治療法を分けて考えてみたいと思います。
1 ひたいの傷ならば、その程度だとおそらく切りとって縫い寄せることになると思います。ただ、あとに3~4センチくらいの長さの細い手術のあとが残ります。なるべくひたいのしわに平行な、つまり横方向の傷になるように手術すれば、多少長い傷でも目立たなくなります。
2 くちびるはそうはゆきません。これだけの大きさのものを切りとって寄せてしまうと、ゆがんでしまいます。そこで2つの方法が考えられます。1つはサンドペーパー法です。このために作られた特別の機械で、傷あととその回りにサンドペーパーをかけて平らにします。このいちばんの目的は傷あとの周辺部をならして、なんとなくぼかしてしまうわけです。もっと目立つ傷あとでしたら、皮膚の移植も試みられてよいでしょう。
3 ほおの傷は広範囲なので最も治療にてこずります。なにかやるとすれば、おそらく皮膚移植しかないでしょう。首とか胸のあたりからの皮膚を持ってくるとかなり回りとのカラーマッチもよくなります。しかし首や胸の部分に、そうとうな傷が残ることになります。おなかとか腰のように隠せる部分の皮膚が使えるといいのですが、どういうわけか回りとひどく違った色になってしまいます。そのへんのプラス、マイナスをよく検討したうえで手術の適否をきめるようにしています。
- Q4186 相談者 ニックネーム:男性 患者様(相談対象者) 年齢:30代前半 性別:無記入
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子どものころやけどで、頭にこぶし大のはげがあります。知人から形成外科に行ってみるようにすすめられたのですが、なおるものでしょうか。
- A4186 回答者:脇坂長興 (創傷治癒センター理事)
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昔、男の子が全部坊主頭のころはどんな小さなはげでも隠しようがなく、当人にとってはたいへんな重荷でした。このごろのように長髪が普通で、はげを隠すのに苦労はなさそうな時代でも、やはりはげというのは忌みきらわれるようです。はげの原因はいろいろありますが、やはりやけどによるものがいちばん多いのです。治療は、その大きさと場所によって3つか4つの治療法を選んで、また組み合わせて行ないます。いずれにしても、いったん失われた毛根を再生させるということは、いまの技術ではできません。したがって、現在残っている毛根をどこまでうまく利用するか、ということになります。
1 1~2センチ程度の小さなはげは、切りとって縫い寄せます。細い傷あとが残りその部分だけは毛がはえなくなるのはやむをえません。3~4センチ幅の広いはげで、一度に取りきれない場合にはこの操作を数度繰り返して行ないます。縫い寄せて、回りの皮膚が伸びてくるのを待って、半年くらいたってから次の手術を繰り返すわけです。この方法で、そうとう大きなはげでも小さくすることができます。ご質問の場合はこの方法があてはまると思います。tissue expander(組織拡張器)というものを使って、より広いはげを治療する方法もあります。治療が長期間にわたるのが難点です。
2 頭の1/3くらいのはげだと、縫い寄せが不可能になります。もしはえぎわのあたりにあって隠しにくいときは、頭頂部か後頭部あたりの毛をはえぎわへ移して、ごまかしやすいようにします。ただこの場合には、前にあったはげがうしろに移動するだけです。初めから頭頂部や後頭部のように、比較的隠しやすい場所にあれば、多少縫い縮めてみて、あとは前のほうの毛をうしろへねかしつけてごまかします。そこだけの部分かつらというのもありますが、装着中にはがれたりして必ずしも心理的に安心できないようです。
3 単一植毛といって、一本ずつの毛根を植える方法もあります。もちろん本人の毛を使います。この方法ではあまり密に植えることは出来ません。最近では、この方法は若はげの治療にも用いられるようになりました。
4 全体の半分以上の場合には、初めから手術はあきらめて、かつらをすすめるようにしています。この場合も、はえぎわにだけは毛を持ってきて、ごまかしやすいようにすることもあります
子どもさんの場合には手術の時期が問題になりますが、特にはっきりしたきめはありません。いちばん本人が悩むのは、10才から15才くらいの時期ですので、その前になおしていたほうが、心理的にはよいでしょう。まだ定説ではありませんが、手術のしやすさ(頭の皮膚の伸びぐあい)も幼稚園から小学校低学年くらいのときのほうがやりやすいようです。若はげについては、また美容外科になるので、別のホームページを参考にしてください
- Q4187 相談者 ニックネーム:無記入 患者様(相談対象者) 年齢:45歳 性別:女性
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乳ガンのため、手術と放射線治療を受けました。ガンはなおったと言われたのですが、腕のむくみがひどくて手を上げることができません。形成手術でなんとかなるでしょうか。
- A4187 回答者:脇坂長興 (創傷治癒センター理事)
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わが国でも多くの場合乳ガンは患者さんにも診断を知らせます。手術と放射線療法をうまく使えばよい成績をあげられるということと、本人が定期的に自分のからだをチェックして早期発見するように、一般の知識が普及したためです。以前はご相談のように、乳ガンの手術はガンの根治手術の一つの典型として、広範囲に乳房と胸の筋肉、わきの下のリンパ節を切除、それでも取りきれない部分を、放射線療法で補うようにしていました。手術の範囲も広く、また、放射線も相当量必要です。そこでご質問の、ガンはなおったが、手がむくんで動かなくなった、という訴えがしばしば起こります。最近は、乳ガンは悪性腫瘍そのものと転移のあるリンパ節だけを切除してなるべく乳房を温存し、あとは放射線療法、化学療法、ホルモン療法を組み合わせるという治療方針が普及しています。
むくみの原因は、わきの下のリンパ腺を取り除いたことにあります。乳房と同じに、腕のリンパ液もわきの下のリンパ腺に集まります。乳ガンの根治のためにその部分のリンパ腺を除くと、腕のリンパ液も通り道がふさがれて、肩とか背中とかのわき道を通るようになります。これである程度代償されますが、やはり十分ではありません。ことに長時間手をだらっと下げているとむくみがきて、そのむくみがその部分の皮下組織を刺激して瘢痕組織をつくり、さらにむくみがひどくなります。一種の悪循環です。
手術のあとは、その部分を安静に保つために、しばらく手は動かせません。ところが関節は絶えず動かしていないと、数週間でかたくなってしまいます。ことに放射線をかけると、線維組織がふえるので、関節はなお早く固まります。乳ガンの手術のあとは放射線をかけることが多く、ちょっとゆだんしている間に肩が動かなくなってくるのはこのためです。
またこの放射線療法は、さきほど述べた残されたリンパ液のわき道もふさいでしまうために、さらにむくみの原因となります。また肩の動きが悪ければ、腕もだらんと下がって、むくみがなおひどくなります。むくんでいるとますます肩を動かさないということで、ここでもまた悪循環が起きてしまいます。ひどい場合、肩の関節は完全に固まってしまい、腕がだらんと下がり、反対側の腕の2倍くらいにはれてしまうこともあります。
これはガンをなおすためのやむをえない犠牲でしたが、早い時期から注意すればある程度の予防は可能ですし、またこうなってからでも、程度によっては治療する方法がないわけではありません。
手術後は、なるべく早い時期から腕を動かすようにします。いちばんよいのは壁のそばに立って、手を壁の上へはわせて、だんだん高いところへ持ってゆくようにすることです。
また、乳房再建の手術をするときにわきの下の癒着をして硬くなった組織をていねいにはがすとリンパ液の流れが良くなって、むくみが劇的に改善されることが少なくありません。形成外科でどの程度の手術が適当か相談してみてください。
- Q4188 相談者 ニックネーム:無記入 患者様(相談対象者) 年齢:30代 性別:女性
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足のすねに直径2センチの低温やけどの跡があります。低温やけどをしてから一年たっていますが一向に傷跡がよくなりません。表面はつるつるしていて、色は黒っぽくなっています。結構目立つので傷跡を目立たなくしたいです。
- A4188 回答者:脇坂長興 (創傷治癒センター理事)
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やけどの傷跡部分を切って、正常な皮膚を縫い合わせる切除縫縮手術が一般的です。ただしある程度皮膚に余裕がないときれいな仕上がりになりません。状況によっては皮弁といって、別な部位の皮膚を動かしてくる特殊な方法が必要になることもあります。
また色素沈着だけなら、ステロイド剤やハイドロキノン軟膏などの美白剤を使用して、手術をしないで症状を改善させたほうが良い場合もあります。
いずれにしろ、実際の傷跡を診察しなければ、最適な方法を検討することが出来ません。形成外科を受診してください。
- Q4189 相談者 ニックネーム:無記入 患者様(相談対象者) 年齢:20代前半 性別:女性
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自動車事故で命はとりとめ、これといって目立つ傷もないのですが、顔がゆがんでしまいました。
- A4189 回答者:脇坂長興 (創傷治癒センター理事)
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自動車事故のときに、表面の傷はすぐ注意をひくので適切な処置がされても、深いところの骨折がしばしば見のがされがちです。顔がゆがんだというのは、おそらくこの骨折のためでしょう。衝突のときにからだが一度浮き上がって天井に頭をぶつけ、はね返ってダッシュボードに顔がぶつかることがあります。このようなときによく起こるのが、顔のまん中1/3の骨折です。また下あごが折れることもあります。両方いっしょに折れる場合もあります。たいていは皮膚も傷つきますが、全く外に傷がなくて骨だけ折れている場合もあります。
自動車事故で大けがをすれば、やはり脳血腫とか内臓破裂といったような重篤な損傷が優先的に処置されます。そして数日間、生死の境を彷徨してやっと助かってみると、顔がゆがんでしまっているのに気づくこともあります。初めから骨折とわかっていても、脳外科的な処置や外科的な処置が優先して、顔面の処置はあと回しになってしまうこともあります。これもある程度はやむをえません。
しかし顔の骨は手足と違って、非常になおりが早いのです。これはありがたいことですが、いまの場合にはかえって裏目に出て、数週間放置すると、がっちりとゆがんでくっついてしまい、なかなかもとに戻らなくなります。10日までなら比較的容易に整復できます。実際問題として、脳とか内臓の障害がどれほどひどくても、将来助かるような場合には、だいたい10日以内に顔面に対してある程度の処置が可能なものです。
いまの場合でも、けがをしてから1ヵ月以内と、1ヵ月以上たっている場合とでは、だいぶむずかしさが違ってきます。いずれにしても、入院して全身麻酔のもとに整復矯正を行ないます。1ヵ月以内ですと、なんとか折れた骨を動かしてもとの位置に戻せます。そして折れた部分を、ステンレスの鋼線でしっかりと止めます。1ヵ月以上たっていると、骨折した部分をまたノミで折り直さないと動いてくれません。これは非常に大がかりな手術になってしまうので、あまり機能に異常がない場合には、出っぱりを削ったり、へこんだ部分に骨移植をしたりして、外見だけをととのえるようにします。
いずれにしてもあごの場合には、正しい歯のかみ合わせを保つことが最もたいせつです。これを咬合と呼んでいますが、正しい位置に持っていくために、6週間ほど上と下の歯を針金で固定する場合もあります。
顔のゆがみの程度にもよりますが、数ヵ所で骨が折れていて全体にずれている場合、このようないろいろな操作を施しても、完全にもとの形に戻すのはなかなかたいへんなものです。
- Q4190 相談者 ニックネーム:無記入 患者様(相談対象者) 年齢:40代前半 性別:男性
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階段からころげ落ちてあごをぶつけたあと、歯のかみ合わせがおかしくなってしまいましたが。
- A4190 回答者:脇坂長興 (創傷治癒センター理事)
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当然、あごの骨が折れたことが考えられます。歯のかみ合わせというのは非常に敏感なものです。医師が診察してわからなくても、またレントゲンにはっきりと骨折線が出ていなくても、本人がかみ合わせがおかしくなったといえば必ずどこかあごの骨が折れているといってよいほどです。
このような訴えのときは、ていねいに診察し、またレントゲンもとって、あごの骨がどこかで折れていないかさがします。骨折があった場合、その先の治療は、歯が正常であるかまたは入れ歯であるかで多少違ってきます。まだしっかりした歯がある場合には、上の歯と下の歯とを針金で結び合わせる顎間固定ということを行います。これで折れた骨どおしを固定し、また同時に歯のかみ合わせを正常に保つことができます。普通これを六週間つづけます。その間は、しゃべることと食事が不自由なだけで、あとは日常生活をつづけてもかまいません。
このように上下の歯をとじてしまっても、奥歯のうしろから流動食をとることはできます。ただ、流動食で栄養のあるものを何週間もつづけると、食欲が減退して多少体重が減ってしまうのはやむをえないようです。
顎間固定に使えるよい歯がない場合には手術を行ないます。折れている部位を切開して針金でとめたり、また、金属性の板をあてたりします。入れ歯自身を副木のように使う場合もあります。また歯が健全であっても、折れた場所や折れ方によっては、手術したほうが望ましいこともあります。そのうえで、初めの場合と同じように上あごと下あごを6週間固定します。
こうして一応骨折が治癒した段階で、なおかみ合わせがしっくりいかないときは、歯のすり合わせということを行なってスムーズにします。かみ合わせの悪いままに歯をほうっておくと、あごの関節にまでひびいてきますので、注意しなければなりません。
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